特別対談 坂野志希×中村将臣


自己紹介

中村:今年34歳になりました。社会人を経験してから長野に戻ってまいりまして、24歳の時すぐに長野青年会議所に入会しましたのでもう10年目になります。そして今年は理事長を務めさせていただいています。長野青年会議所について、簡単に説明します。長野青年会議所は、地域社会や地元長野市のために、より良い明るい豊かな社会づくりをしていこうということを理念に掲げて活動をしている団体で、組織されてから今年で66年目を迎えます。様々な企業の青年経済人が自分たちの仕事と共に、自らの社業だけではなく、地域のために、まちづくり運動を推進しようということで長きに亘り地域に根差した活動をしている団体です。広く知られている長野青年会議所の活動としては、2013年に復活させて6年目を迎える「ながの祇園祭」や、夏の風物詩「長野びんずる祭り」、冬の「長野灯明まつり」といった活動が挙げられます。また、過去には長野電鉄の地下鉄化を提言したり、1998年冬季オリンピックの誘致運動をしたり、様々な活動を行ってきています。

 

坂野:文化学園長野中学・高等学校2年生になります坂野志希です。私は文化学園長野中学の2期生として入学しました。中学2年生の時から生徒会の活動をしてまいりまして、3年生の時に第2期生徒会長になりました。今は高校生になり、11月ごろから生徒会の執行部員として活動しております。


それではそれぞれのSDGs推進への取り組みについて

中村:私たち長野青年会議所は、今年、12委員会を設置しました。委員会の内容としては、青年会議所の内部的なことを担当する総務財務委員会や広報委員会、長野びんずる祭りや長野灯明まつりを運営する委員会、青少年の育成に関する事業を行う委員会や国際交流に関する事業を行う委員会などがあり、それぞれの委員会に担当メンバーを割り振って様々な活動をしています。長野青年会議所は地域の一会議所となりますが、その本部であるJCI(Junior Chamber International)は、青年会議所の発祥の地であるアメリカのミズーリ州セントルイスにあります。そのJCIという組織の中で、日本各地には694の青年会議所があり、それぞれが「自分たちの地域だけではなく、他の地域を良くしていこう」と考え、長野青年会議所であれば北陸信越地区、日本青年会議所、JCIと3つの組織にメンバーを出向させて、活動させて頂いています。日本青年会議所やJCIというのは地域に留まらないスケールの大きな活動をしています。SDGs推進の取り組みとしては、日本青年会議所は、2015年9月に国連総会においてSDGsが採択されたことを受けて、同年11月に開催されたJCI世界会議金沢大会におきまして、SDGsゴール6「安全な水とトイレを世界中に」を推進することを金沢宣言として発表し、「JCI JAPAN SMILE by WATER」キャンペーンとしてアジア各国に「安全な水」を届けるためのプロジェクトを行いました。例えば、募金型自動販売機を設置して、その売り上げの一部をアジア各国で水について問題を抱える地域に寄付をするというようなキャンペーンを行ってきました。本年1月には全国の青年会議所のメンバーが集まる京都会議において、日本青年会議所は外務省と共に「持続可能な開発目標(SDGs)推進におけるタイアップ宣言」に署名し、「青年会議所が最もSDGsを推進していく団体となろう」と目標を掲げ、SDGsの全てのゴールに向かっていく元年として本年度のスタートを切りました。長野青年会議所としましても本年度をSDGs元年として各活動に取り組んでいきたいと考えていますので、長野青年会議所のSDGsに関する取り組みについて皆さんにご理解頂けたら良いなと考えています。

 

坂野:私は中学3年生のときに生徒会長になり、その際一番力を入れたSDGs活動としては「国際月間」というものがあります。これは、生徒の皆さんにSDGsの17のゴールの中から一つのSDGsゴールを選んで探求してもらうという活動です。その活動を行うにあたって、私は中学生という少人数の特徴を活かしたくて多学年交流をしようと考え、生徒会の委員会ならば全ての学年が揃うので、委員会毎に一つのSDGsゴールを選んでもらいそのSDGsゴールについて調べてもらいました。それぞれ委員会が全員の前で発表することで皆が知らなかった世界の問題について知ってもらうことができましたし、質問の時間を設けることで更に深く考えてもらうことができました。また、その内容を模造紙に書き起こし中学校の昇降口に貼ったりして、気軽に何度でも見直すことができる機会を作ることができました。ただ、私は、それだけで終わりにはしたくなかったんです。そこで生徒会で穴埋め式のクイズを作りました。クイズの正解を穴埋めするためには、再度、模造紙を確認する必要があるので、またそこで発表内容を見直す機会を増やすことができました。さらに生徒会では今まで行ってきた活動を一枚の「国連壁新聞」というものにまとめて、外務省のほうに提出させて頂きました。高校生になってからもSDGsの17のゴールの中から一つのゴールを選んで探求しているのですが、そちらは3~4人のグループで活動しています。私がその中で選んだものは、SDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」です。1年生の時はグループ毎に探求してプレゼンテーションを行い、レポートを作成して提出しました。2年生の時は一人ずつの活動になるのですが、またさらに探求を深める活動ができるようになると思います。以上が、私がこれまで行ってきたSDGs活動になります。

 

中村:学校というのは色々な学びの機会が提供されるもので、その中でSDGsを勉強して関心を深めていったと思うのですが、坂野さんは、自分が学生だからゴール4「質の高い教育をみんなに」について探求していったのか、それとも坂野さんが教育に関する仕事をしたいという考えで深く探求したということでしょうか。

 

坂野:小学校の時から「体育の先生になりたい」という夢がありまして、元々、教育というものに興味がありました。SDGsの17のゴールの中から一つのゴールを選ぶ際にも、勿論、そのことを視野に入れていました。他のSDGsゴールについても目を向けていたのですが、例えば環境のことについて考えたときに、資料を読むにしても、計算をするにしても、皆で話し合うにしても、「教育を受けていないと何もできないんだな」と感じたのです。教育を受けていなければ字の読み書きもできないし、教育を受けていなければみんなとコミュニケーションをとることができないし、教育が大事だなと思ったので、私は教育について調べることにしました。

 

中村:ちなみに私たち長野青年会議所の事業である青少年の健全育成に関する事業では、今年は少し変わった切り口でSDGsゴール1「貧困をなくそう」といったゴールについても取り組んでおります。若者世代の皆さんが教育を受けている当事者として意識を持ち、課題点、問題点に取り組んで勉強してさていることは素晴らしいことだなと坂野さんのお話を聞いて思いました。勉強をして、SDGsに関心を持った方たちが委員会でテーマを絞ったとのことですが、例えば、選択されなかったSDGsゴールや多く選択されたSDGsゴールはあったのでしょうか。

 

坂野:中学校での「国際月間」では、どの委員会も探求するSDGsゴールが被らないように工夫しました。各学年1クラスしかなかったので、私のクラスには全ての委員長、副委員長がいましたので、17のゴールのうちどれについて調べたいのかを聞き、もし調べたいSDGsゴールが被ってしまったら、話し合って調整をしてもらうようにしました。中学校の委員会の数は8つしかなかったので、全部を調べることはできなかったのですが、高校では自由に探求したいSDGsゴールを選ぶことができたので、17のゴールについて調べることができました。

 

中村:今、日本ではSDGsゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」が全ての問題に繋がるものであり、達成しなければならないゴールと言われています。私たち長野青年会議所メンバーは総勢150名を超えていますが、女性会員が10名に満たないという状況で、まだまだ「ジェンダー平等」が実現されていないのではないかと思っています。坂野さんは、女性の視点から現代社会における「ジェンダーの平等」について思うことはありますか。

 

坂野:うーん。女性からすると、育休をとりやすくするとか働きやすい環境を作って頂きたいな、と思います。でも、それは女性だけではなくて、当然男性にも関わってくることなので難しい問題なのかなと感じます。

 

中村:なるほど。一企業を経営する青年経済人として今の若者世代の女性が職場環境についてどのようなことを考えているのかをお聞きしたいです。

 

坂野:自由に活躍、活動できる場が欲しいと思います。抑えなければならない場面はあるとは思いますが、自由に活躍、活動できる場があれば楽しいのかなと思います。

 

中村:その方が、働きがいがあって、また、働きやすいかもしれないですよね。上から「あれやりなさい」「これやりなさい」と抑えつけられるよりも、自分で考えて、自分の豊かな発想の中で仕事に貢献できたら、個人としても会社にとっても素晴らしいことですね。

 

坂野:もし私が夢を叶えて体育の先生になれるのだとしたら、本当にこの学校に戻って来たいです。同級生も別教科ですが先生になることを目指していて、先生になったらこの学校に戻って来たいと言ってますよ。

 

中村:SDGsは、2030年までに達成すべきそれぞれのゴールが定められています。私たち青年会議所は中長期的な「目標」を持っていますし、それは、若者世代には「夢」と置き換えることができると思います。私としては、SDGsの17のゴールを達成するということを経験することによって自分たちの「目標」や「夢」を具現化させ、更に先のビジョンを明確にして、SDGsと共に歩んで行くことが重要なのではないかと思いました。長野にはいち早くSDGs推進宣言をしている企業があったり、長野県はSDGs未来都市に選定されて、各活動をSDGsに紐づけしたりして、SDGsの土壌が存在しています。しかし、まだまだ職員の方をはじめとして一般の方々の認知度は低いので、私たちとしてはSDGs元年に長野青年会議所のSDGsに対する取り組みを広報して、行政、市民、関係諸団体と様々なところでSDGsの認知度向上のために動いていかなければならないと感じています。そのような取り組みを行う中で、私たちは高校生などの若い世代の人たちの一言や発想に「ハッ」とさせられて、驚かされることが非常に多いです。今回の対談で、坂野さんのような若い世代の方々に、「皆さんにはそのような力があるんだ」ということをお伝えできればと思います。


ユネスコスクール「ESD国際交流プログラム」に参加して

坂野:私は、ユネスコスクール「第9回ESD国際交流プログラム」に参加しました。このプログラムは全国のユネスコスクールの高校生のみが応募可能で、私が参加した際には全国から応募があった283名の高校生の中から8名が選抜されました。プログラムの内容は、ドイツやフランスのユネスコスクールの高校生にプレゼンテーションを行ったり、ドイツやフランスのユネスコスクールでどういった活動をしているのかを学んだり、フランスのユネスコ日本代表本部やこのプログラムを支援している三菱UFJ銀行パリ支店、ユネスコパリ本部などと見学したりしました。

中村:世界遺産の見学もされたと聞いています。いかがでしたか。

 

坂野:ドイツはハイデルベルグ城を見学し、フランスはノートルダム寺院とルーブル美術館を見学しました。ハイデルベルグ城がある町に行ったときに、交流した高校生に「ここ何」と質問したら、「ここは大学だよ」と教えてくれました。その町自体が大学の町で、一言でいうとすごくきれいでした。フランスは道端にゴミが多かったのが少し残念でした。

 

中村:行ってみないと分からないことが沢山ありますよね。経験するということは非常に大事ですよ。フランスって聞くときれいなイメージがあるんですけど、私もフランスに1回行ったことがあるので、坂野さんの話はとても共感できます。フランスに行ったことのない人にとってはなんとなく建物も立派だし綺麗だと思うかもしれませんが、実際はそうじゃないわけです。実際に経験してみることが関心を持つきっかけになったり、自分の中で問題提起するきっかけになったりするので、非常に貴重な経験をされたのかなと思います。

ちなみに、今、善光寺は国宝なんですが、世界遺産にしようという取組があるということは知っていますか。

 

坂野:そうなんですか。今聞いて、「世界遺産になっちゃうんだ」と思いました。

 

中村:国宝のほうがいいですか。

 

坂野:国宝のままでいいと思います。「何で世界遺産にするんだろう」って思います。

 

中村:簡単に言うと価値をより高めるということにあると思います。善光寺が国という規模でなく世界の中で重要な文化財だとされ、それだけ重要な文化財が長野市にあるということの方が、長野市が世界に認められる地域になるということにつながるのではないかということだと思います。

坂野:価値を高めることはいいことだと思います。でも、今の話を聞いてちょっと複雑な気持ちもあって、国宝の方が日本人として誇り高いと感じます。観光客を増やしたいということなんですかね。テレビとかニュースで各地域が世界遺産登録を頑張っているのを見てると、「観光客を増やしたいんだ」と思ってしまい、国宝のままでいいのになって思います。ただ、一高校生の意見なので、長野としては観光客を増やしたいという目的があるなら、善光寺の世界遺産登録の運動も必要になってくるのかなと思います。

 

中村:善光寺の建物や長野市のまちの価値を高めたいというのが一番だと思います。また、観光に限らず色々な点で良い影響があるんじゃないかと考えていると思います。また、純粋な気持ちで「善光寺が世界に通用する建物なんだ」「長野市が世界に通用する文化の町なんだ」ということで善光寺の世界遺産登録運動に取り組んでいる人もいると思います。


青年会議所と国連について

中村:青年会議所は国連に加盟している組織になります。私が付けているバッジにも国連のマークが入っていて、青年会議所と国連とは関係が深いです。青年会議所と国連が深い関係にあることもあって、JCIや日本青年会議所では、少年少女国連大使という事業を行っています。これは、少年少女国連大使に選抜された子ども達が、ニューヨークの国連本部などへ行って研修を行い、日本と世界の生活の違いや世界が抱える問題・課題に目を向けて理解し、海外での交流を通して次世代の民間外交の担い手として成長して貰い、参加した子どもがそれぞれの地域で国際協力の意識を喚起したり、国際発展のための活動をしたりして、各地域での国際協力活動を後押して、支援して、推進していくための機会を提供するというものです。非常に狭き門で全国何千何百という応募者の中から数十名ほどしか選ばれず、青年会議所の推薦が必要となります。また、少年少女国連大使として選ばれた場合には、研修を終えてそれぞれの地域に戻ってきた後、記者会見を行ったり、知事などへ報告したり、地域の各小学校を訪問して国連で発表した内容をプレゼンテーションで報告したりします。当時小学生だった増田海仁(みに)さんが、2016年に長野県から初めて少年少女国連大使に選出されましたが、坂野さんと同じように増田さんも少年少女国連大使という機会を通してSDGsに触れることで、国際感覚をもって民間外交の担い手として、将来、民間外交の担い手となれるような職業に就きたいという想いを持って長野に帰ってきてくれました。長野に戻ってきて、増田さんは、少年少女国連大使の事業で取り組んだSDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」についてプレゼンテーションを行い、また、私たちと同じように「これからSDGsを広めていかないといけない」、「日本や長野が、国際的な感覚を身に付けた人材を育成していかなければならない」、「地域がSDGsや人材育成の視点を持たなければならない」などと報告をしてくれました。このような活動に長野青年会議所が携わらせていただくことがありました。青年会議所には、国際交流を通してSDGsと触れ合う機会がありますので、長野青年会議所としても少年少女国連大使事業を積極的に支援していきたいなと思いますし、坂野さんの話を聞いて、私たち自身も少年少女国連大使事業と同じような機会を提供していかなければならないと考えています。


SDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」

中村:長野青年会議所は青少年育成という観点から長きに亘り活動を展開しています。その中で今年は「絆学習」事業という、包摂性を子どもたちに身につけてもらう事業を計画しております。この事業は、子どもたちに包摂性を身につけてもらいながら、SDGsゴール1「貧困をなくそう」に関連したプログラムになっています。SDGsゴール1「貧困をなくそう」はSDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」に関わってくるゴールだと思っています。貧困問題は日本の教育の現場においてあまり問題になっていないと思われるかもしれませんが、実際には、給食費が支払えない家庭や、子どもに義務教育を受けさせることを放棄して子どもを働きに出さなければならない家庭があると話を聞きます。一つ一つの青少年の健全育成のための活動や取り組みはもちろん大事ですが、その背景にある貧困問題を解消していかなければならないと思います。この貧困問題は、学校や家庭のみで解消できる問題ではありません。そのため、私たち青年会議所としては、今年は、「絆学習」事業などの青少年育成事業を通して、子どもたちに包摂性を身につけて貰うと共に、SDGsゴール1「貧困をなくそう」に関する意見を作り上げ、行政等に提言をしていきたいと考えています。

また、今年は選挙が少なくとも3回あります。3年ほど前に選挙権年齢の引き下げもありましたので、今年は、若者に対する政治啓発運動も計画しています。

このように私たち青年会議所はSDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」をターゲットにした取り組みを継続して取り組んで、より良い長野のまちづくりを実践していくことを考えています。

「教育」に対する取り組みをどうすべきかなど坂野さんの考えがあれば教えてください。

 

坂野:私たちのグループは「質の高い教育」を調べてみて、アクティブラーニングに着目してSDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」について考えました。今回、ユネスコスクール「ESD国際交流プログラム」に参加して、フランス・ドイツに行った時にユネスコスクールの各クラスの授業を見学させて頂いたんですが、それがとても面白いと思いました。それは、日本はどのクラスも机を一つ一つ離して皆が黒板を見ているけれども、向こうでは、机を四角や円や「コ」の字型に並べてグループを作って授業をしていて「グループで考えて活動するってこういうことなんだな」と強く印象に残りました。このような授業の形態を日本でも取り入れてほしいなと思いました。

 

中村:今の坂野さんのお話を聞いて、社会において、会社が社員を抑えつけるのではなくて、社員が自由に活動する、仕事をする、ということに少し似ているのかなという印象を受けました。つまり、学校教育で、先生が「これを学びなさい」と生徒に押し付けるのではなくて、皆さんが学びたいことや関心があることについて、ある程度のルールの中で、自分たちが学びたいことを選択していったり、生徒同士で関心のあることに対する知識を高めていったりすることが、もっと大切じゃないか、ということではないかなと感じました。

 

坂野:はい。文化学園でも中学校の時から授業で多くのアクティブラーニングを取り入れたり、ディベート、パネルディスカッション、ジグソー法を取り入れたりしていて、それらを経験していくなかで、私自身も自分の意見をよく発言するようになりました。小学校の時の私は自ら発言することは全然なく、文化学園に入学して「私ってこんなに変わったんだな」と感じます。小学校の先生に会うと「こんなに変わったの」と言われます(笑)。小学校の時に先生から児童会の委員長を打診されたときは自信がなくて泣きながら断っていました。それが中学校2年生の時には生徒会の書記に手を挙げて、生徒会長に立候補して、高校では執行部にも手を挙げて、ユネスコスクール「ESD国際交流プログラム」もやってみたいと思えるようになったのは、やっぱり、アクティブラーニングで、自分の気持ちを伝える事の大切さを学んだり、自分の気持ちを伝えた相手が理解、納得してくれて、一緒に活動してくれるという経験をしたからだと思います。そして、そのような活動や経験は心から楽しいしまた、嬉しいと感じました。そのような気持ちにさせてくれるグループ活動は大切だなと思いました。

 

中村:坂野さんがそのように感じたのは、もちろん坂野さんや生徒の皆さんの努力もあると思いますけれども、文化学園さんが「質の高い教育」を生徒の皆さんに提供するためのプログラムを持っていて、そして、毎年毎年、継続して「質の高い教育」を提供し続けていることが生徒の皆さんの成長に繋がっているのではないかなと感じました。一年一年「質の高い教育」を提供していくという点は私たち青年会議所も一緒だと思います。坂野さんも、この学校は「質の高い教育」が充分にあるということは断言できますよね。

 

坂野:胸張って言えます。先ほど話した想いは、文化学園に入学しなければ経験できなかったものだと思っているので、学校に感謝しています。

 

中村:私たち青年会議所のまちづくりと、坂野さんの話の内容は通ずるものがあると思います。青年会議所の活動に答えはなく、自分たちが出した答えを自分たち自身が正解だと強く信じるために、確固たる勉強をし、困難に挑戦をし、様々な経験をして学んでいかなければなりません。その上で、一年間の方針を立ててそれを正解だと信じ、仲間と共に活動していくことが青年会議所の良さだと思います。そして、その活動の中で生まれるものが友情であったり、奉仕の精神であったり、楽しさだと思っています。そうすると教育現場のあるべき姿と私たち青年会議所を含んだ社会・経済のあるべき姿は根底では一緒なのではないかと思います。


長野市の若者流出問題を教育で解決

中村:私も長野青年会議所のOBでもある長野市長と話をさせて頂くことが多くて、その中で高齢化社会と人口流失が話題となります。長野市長は、人口流失の問題について、長野に若者を呼び込みたいと考えて長野市内の大学に看護学部を開設したと話もされていました。私は、未来を担う若者が少なくなると地域は必ず衰退していってしまうと思います。人の力は数の力であり、人のそれぞれの個性が地域を良くするエネルギーだと思います。どうすれば若者にとって魅力あるまちづくりができるのか、どうすれば長野市が良くなっていくのか、「教育」と関連して何か考えはありますか。

 

坂野:まずは、とても良い学校なので文化学園のような学校が増えて欲しいと思います。他には、長野青年会議所さんでは過去にに出張先生などを行ってらっしゃるので、私たち高校生にも長野ならではのことをたくさん教えて貰いたいと思います。例えば、食で言ったらおやきの話など長野だからこそ得られるものを教えて頂きたいです。大人になって長野に戻ってきて「高校の時にこういうことを教わったから、長野に戻ってきて何かできることはないかな」などと話ができれば良いと思います。私は体育が好きなので、体育に関して長野ならではのお話があれば良いと思います。

 

中村:我々青年会議所メンバーは社会人として手に職を持っています。青年会議所メンバーの中にいるお豆腐屋さんは、お豆腐作りで出張先生を行った経験があります。また、美容師さんが髪の毛をカットする方法とかを教えたりしたことがあります。

 

坂野:私、フランスに行く前に髪を切ってしまったんですけど、ヘアドネーションがしたくて、ヘアドネーションの方法なんかを教えて貰いたいなと思います。

 

中村:実は、今、出張先生は、長野青年会議所で事業としてやっていないんです。出張先生は大変評判の良い事業でした。青年会議所が出張先生の事業を行うことも大事なんですが、私たちの最大の目標は、民間企業・団体や行政と手を組んで、何ができるのかを考えていくことなので、例えば、出張先生、未来リーダーズ、親子の学舎などをパッケージ化して、タイアップしてくれる企業や団体に広報して、そのパッケージを基に企業や団体で取り組んで貰いたいなと考えています。若者を流失させないために長野市って良いところだなって思ってもらえるような教育を行っていきたいと思いますが、青年会議所の取り組みだけでは限界があるので地域の企業や各種団体と連携して、出張先生などの事業を復刻させていく取り組みを行っていきたいと考えています。

 

坂野:他には、私自身も、企業さんに何か協力できないかと考え、企業さんと協力して何か活動したいなと思います。

 

中村:そのような機会を求めている学生さんは多いんですかね。

 

坂野:はい。

 

中村:私もそうでしたが、社会人になることは不安がたくさんあると思います。高校生は、ちょうど大学や専門学校に進学するかなど、将来、何をしたいのか迷いが生じるときだと思います。みんなが坂野さんみたいに小学生の時から夢があって追いかけて、順風満帆に経験していくわけではなくて、実際、迷っている人が多いと思うんです。そのような迷っている中で、将来の仕事などを選択できるように、企業として我々青年会議所がお手伝いできれば良いと思います。そういう意味で教育の機会を設けることが、質の高い教育になるのかなと思います。


最後に一言お願いいたします。

中村:SDGsが非常に重要だと感じましたが、SDGsの前段のところで教育の現場で前向きに人材育成をしていかなければならないと思いました。今日、生徒達の将来のことを考えた長い目で見たプログラム化された教育が長野市にあるということを知りました。私もこのような教育の現場に出会っていればこんなふうになっていなかったのかなと思いました(笑)。そのような教育の現場に出会えさせて頂いたのも何かの縁だと感じます。また、前向きに挑戦している坂野さんのように私よりも一回り以上も若者がこんなに頑張っているのだから、我々ももっと元気を出して頑張らなければならないと思いました。その中で「楽しく」という言葉がありましたが、今日の対談は、みんなが楽しんで活動できるというのはどういうことを指すのかをあらためて考えるきっかけにもなり、私が坂野さんから教わることが多い対談だったのではないかなと思います。本当にありがとうございました。

 

坂野:こんな凄い団体さんと対談させてもらうことは今まで無かったので、その貴重な経験を今回のユネスコスクールでの体験も含めて、他の生徒にもどんどん広げていって、次に繋がる何かを見つけていきたいです。今回のご縁をきっかけに、また青年会議所の皆さんと繋がっていきたいです。